お手入れ手帖 Vol.14 2026年 夏憶

後編

サイエンスの力で
可能性を拡げる。
3Sセンターが描く、
敏感肌を理由に
何かを諦めない未来。

Vol.14 2026年 夏憶
(後編)サイエンスの力で可能性を拡げる。3Sセンターが描く、敏感肌を理由に何かを諦めない未来。

2026年3月に発足した専門研究チーム「DECENCIA Sensitive Skin Science Center(以下 3Sセンター)」の主力研究員が語る第2弾。前号の初代センター長 坂口研究員、基礎研究担当 西條研究員に続き、肌理論担当の森岡研究員、処方開発担当の猪狩研究員が登場します。

研究成果を、
「自分のこと」に感じてほしいから

研究成果を、「自分のこと」に感じてほしいから
森岡 紀子(肌理論担当 研究員)

私が担当している肌理論研究とは、最先端の難解な基礎研究を、誰もが自分のことと感じられるように変換していく仕事です。研究成果の発表の場である技術リリースでは、科学的な正確性を重視するため専門的な表現が中心になります。一方で、その知見がお客さまご自身の肌とどのようにつながるのかを実感していただくには、もう一歩生活者視点での伝え方が必要だと感じています。

そこで私は、そのような専門性の高い研究成果からお客さまの肌や生活に密着したエッセンスを抽出し、「肌のこの部分で、こんなことが起こっていることがわかりました。そこにこの成分を、こういうふうに届けることで、こんな状態に導きますよ」というストーリーに翻訳し、肌理論として再構築しています。
3Sセンターとして発信し始めた「敏感度スコア」でも、精密なアルゴリズムにつながるチェック項目や結果、アドバイスなどを、いかにお客さまに「自分のこと」としてもらえるかという点にとても神経を使いました。科学的な正確さを守りつつ、専門的な用語や数値を「日常の肌実感」へと翻訳する。それが、基礎研究とお客さまの毎日を結びつける、私の大切な役割なのです。

研究成果を、「自分のこと」に感じてほしいから
敏感度を0〜300でスコア化し、
4段階の敏感レベルと13の敏感タイプに分類する
敏感度スコア」(無料)。

皆さんの気づきが集まって、
敏感肌サイエンスは進化します

敏感度スコアの開発で特にこだわったのは、「どんな時に肌の不調を感じるか」を聞いてから、「その不調ってどんなものなの?」と、深掘りしていく流れです。よくあるセルフチェックでは、最初に肌状態を伺うことが多いのですが、私たちとしては、そもそも「敏感肌or敏感肌ではない」という先入観を持ってもらいたくありませんでした。最初の生活シーンに基づいた設問をさせていただくことで、お客さまに「そういえばこの時に肌状態が悪くなるかも?」と気づいていただくきっかけにもなればと思っています。

世の中には「自分は敏感肌ではない」と思っていても、実際には赤みやピリピリを感じている方が大勢いらっしゃいます。一方で、敏感肌の定義が曖昧なため、「バリア機能が低下して刺激が入り炎症を起こす」という一面だけで語られたり、「敏感肌の人はターンオーバーが早いから遅くするべき」といった誤解を耳にすることもあり、すべてが曖昧なこの状況に、私は少し危機感を抱いています。だからこそ、一人でも多くの方に、敏感度スコアで今の自分の肌を知っていただきたいんです。

個人的に、将来は肌だけでなく、社会ストレスや個々のライフスタイルに合わせた、より具体的なアドバイスを提案したいという野望を持っています。そのためには、たくさんの情報が必要です。「こういう時に調子が悪くなるみたい」「もしやこれが原因なの?」など、気になることがあったら、ぜひ私たちに教えてくださいね。その声が、新しいサイエンスの扉を開く鍵になるはずですから。

※正しくは、敏感肌の人が全員一概にターンオーバーが早いとは言い切れず、スピードは「遅くする」のではなく「正常にする」ことが大切。

「知ること」を積み重ねて、敏感肌を諦めない世界へ
森岡 紀子

森岡 紀子

シミ、老化、皮膚常在菌などの基礎研究を経て、最新の皮膚科学を学ぶために2年間のイギリス留学も経験。研究員仲間からは親しみを込めて、「もりこ」「もりこちゃん」と呼ばれている。

肌へのやさしさと
機能性の両立という、
高度な技術が求められます

肌へのやさしさと機能性の両立という、高度な技術が求められます
猪狩 友希(処方開発担当 研究員)

処方開発とは、ここまで他の研究員がお話ししてきた細胞レベルの基礎研究の成果やそれを実現する成分を、皆さまが実際に肌に届ける「化粧品」という形にする仕事です。いわばものづくりの最前線。私自身はこれまで、クレンジングからクリーム、さらには特殊な美容液などさまざまな製品の処方開発を担当してきました。その中にはもちろん、私が開発したディセンシア製品もあります。

実は、敏感肌のための処方開発は、研究者にとって非常に難易度が高い領域。まず、配合する成分に厳しい制約が数多く存在しますが、品質をキープし心地よい感触をつくるためには、単にそれらを抜いて○○フリーにすればいい、というわけにはいきません。特に私が得意としている化粧水は、配合するものの影響がダイレクトに反映されるため、成分のわずかなマイナスやプラスでも、バランスが大きく変わってしまいます。品質や敏感肌への影響を考慮しながら、同時に感触や肌なじみの良さを両立させる。この制約だらけのパズルを組み立てるような精密な設計こそが、私の腕の見せどころなのです。

美容をポジティブに楽しめる世界を、
1日でも早く

今回3Sセンターが発足したことは、処方開発にも大きな影響をもたらすと考えています。先ほど少しお話ししたように、これまでの敏感肌のためのものづくりは、「何が入っていないか」という引き算による安心感が主流でした。でも私は、3Sセンターが「敏感肌とは?」を明確にし、科学的根拠を持つことで、これまで敏感肌には不向きだと考えられていた「攻めの成分」の配合や、難しいと思われていた感触も、実現できるようになるのでは?と思うのです。制約を理由に諦めるのではなく、サイエンスの力で可能性を拡げ、敏感肌の方にも、守りだけでなく、その先の美容の楽しさと醍醐味を存分に味わっていただきたい。そして、都度心配して成分を細かくチェックしなくても、「このブランドが作っているものなら大丈夫」と思っていただける環境を届けたい。敏感肌を理由に諦めることなく、純粋に化粧品の効果や感触をポジティブに楽しめる…そんな未来を目指しています。

美容をポジティブに楽しめる世界を、1日でも早く
猪狩 友希

猪狩 友希

ポーラ・オルビスグループの製品のなかでも、特殊な剤型や新しいジャンルに携わることの多い、処方開発の要。クレンジングからメークまで、すべて自分が携わった猪狩シリーズをつくるのが夢。

3Sセンターが敏感肌研究にかける想い、そして思い描く未来を感じていただけましたでしょうか? ディセンシアは、これからも敏感肌を真摯に見つめ続けます。

Photography:YUKI SUGIURA
Hair&Make-up:Shiori Nagata

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