2026年3月、敏感肌研究を目的とした専門研究チーム「DECENCIA Sensitive Skin Science Center(以下 3Sセンター)」が設立されました。原因も状態も人によってさまざまで、どうしていいのかわからない…そんな不安を抱えがちな敏感肌。このチームはそんな曖昧な状態にサイエンスの光を当て、エビデンスに裏打ちされた、今よりもっと安心できる生活とお手入れの提供を目指します。
その研究成果の第一弾となったのが、5月21日にリリースされた「敏感度スコア」。3Sセンターの主力研究員4人からのメッセージを、今号と次号の2回に分けてご紹介します。
こんにちは。3Sセンター長の坂口と申します。今日は、私たちがどのような想いで今回のセンターを立ち上げ、皆さまの肌とどう向き合いたいと考えているのかについてお話しさせていただけたらと思います。
私は2005年にポーラ・オルビスグループの研究所であるポーラ化成工業(以下、研究所)に入社しました。それ以来ずっと、敏感肌と関連の深い安全性の研究に携わっています。そんな私の転機は、グループ化粧品会社への出向でした。研究員としての日々では知る機会のなかったお客さまの切実な悩みやリアルな言葉に直接触れ、「研究者は製品を作るだけでなく、お客さまが気づきや安心感を得られるような情報も届けられるのではないか?」と考えるようになったのです。
そんな中、ディセンシアとの協働で3Sセンターが発足、センター長に就任しました。チームの使命は、「当事者も業界でも捉え方が曖昧な敏感肌の仕組みを、サイエンスでひも解くこと」。そして、「どうしていいか分からない不安を感じている方に寄り添うこと」。研究員として挑戦したかった「生活者のための研究とアウトプット」に、センター長として携われることに感謝しながら、今は日々、チーム員と共に敏感肌と向き合い続けています。
3Sセンターの大きな特長のひとつは、各分野の専門家が結集していること。細胞レベルで敏感肌を見つめる基礎研究の担当、データや研究成果を敏感肌の方々の心に届く肌理論へと進化させる担当、そして感触設計や成分配合など実際のものづくりを行う処方開発の担当。そんなプロ集団の知見と想いが詰まった3Sセンターのアウトプット第一弾が、肌のゆらぎを可視化するセルフチェックコンテンツ「敏感度スコア」です。
「よくある敏感肌チェックね」と思われるかもしれませんが、これは単なるフローチャートではありません。一人ひとりの結果の裏側には、私たち研究所の最大の強みである、長年蓄積してきた膨大な肌データと知見、そしてさまざまな肌を細胞レベルで観察して得た、「敏感状態の肌で何が起きているか」というリアルかつ最新のデータがアルゴリズム化され、確かなエビデンスとして存在しています。
敏感度は、体質だけでなく、更年期、生理、ストレス、花粉、環境の変化などで日々変わります。また、敏感状態になっているのに「ただのピリピリ感だから」「一時的だから」と考え自覚していない方も大勢います。自覚があるないに関わらず、自分を知るためのツールとして、季節や体調に合わせ敏感度スコアを活用していただきたい。それが私たちの願いです。
坂口 眞由美
初代センター長に就任。安全性のプロフェッショナルとしてキャリアを重ねつつ、過去にはグループ化粧品会社で企画開発を担当した経験も。研究者と生活者の目線を併せ持つ頼れるリーダー。
私はこれまで一貫して、アレルギーやアトピー性皮膚炎などに関する研究をしてきました。その中で募っていったのが、「敏感肌に特化した研究をしたい!」という強い想い。敏感肌は言葉としては定着していますが、原因も症状も複雑なため、業界的にも実は定義が曖昧で、専門の研究組織もあまり見られない…どこか宙ぶらりんな状態だと感じていたんです。そして2年前、ついに「敏感肌専門の研究をゼロから立ち上げ、リードしてほしい」という任命が。それは私にとって、ようやく自分が本当にやりたかった研究への挑戦が始まった瞬間でした。
私たちの研究所には、基礎研究者にとってエキサイティングな環境があります。その代表が、人の皮膚からごくわずかな細胞を採取する「マイクロバイオプシー」という技術です。これまでは実際の敏感肌の方の肌内部を調べることは困難でしたが、注射針よりも細い直径250µm(=0.25mm)の程度の針を使い皮膚から細胞を採取するこの技術があれば、敏感肌の方から肌の微小なサンプルをいただき、肌内で何が起きているのかを直接知ることができます。この技術を使い、私たちは数百人規模のリアルな肌サンプルから、細胞レベルの膨大な情報を取得。ビッグデータ解析技術やAIを駆使することで、これまで解明されていなかった複雑な敏感肌のアルゴリズムを導き出しました。曖昧だった敏感状態を、「この時は、肌のこの部分がこうなっているから、こういう状態になる」という確かなエビデンスに基づくものへ。これこそが、私がやりたかった研究の根幹です。
この研究成果をいち早く届けたいという想いで開発したのが、坂口センター長からもご紹介した「敏感度スコア」です。お客さまに寄り添って的確に情報を把握しながら、簡単にわかりやすくすることにとことんこだわりました。ちなみに診断項目に「Tゾーンの皮がむけて白っぽいものが見える」といった非常に細かな項目があるのは、裏にエビデンスがあるが故の、そして「どうしてもお客さまの真実の状態を知りたい」という私の執念の現れです(笑)。
私が目指すのは、敏感肌を「特別なもの」ではなく、誰にでも起こり得る自然な身体のゆらぎとして捉える世界です。
生理や更年期が、かつてのネガティブなイメージから、「自分らしく付き合うための自然な変化」として受け止められるようになったように、肌のゆらぎもまた、我慢したり隠したりするものではなく、自分自身を理解するための大切なサインとして捉えてほしい。だからこそこのスコアは、肌の良し悪しを判定するものではなく、「今の自分」「今のゆらぎ」を理解する指標として、活用していただきたいと思っています。
そして実はこのスコア、まだ完成形ではありません。私たちの手もとには、搭載しきれていない最新の研究成果や、アップデートの構想が控えています。サイエンスの力で、あなたの肌がどこまで自由になれるのか。3Sセンターが提示するこれからの展開に、ぜひ期待してください。
西條 拓
研究所での敏感肌研究を牽引する人物であり、3Sセンターのサイエンスの要ともいえる基礎研究を担当。肌科学の最先端に取り組みながら、敏感肌化粧品売り場は必ずチェックするという一面も。
敏感肌を理由に何かを諦めない。肌のことを気にせずに生きられる。そんな世界をつくるための第一歩が、「知ること」だと語る坂口センター長率いる3Sセンター。敏感度スコアを皮切りに、さまざまな形で皆さまの肌と生活に寄り添い続けます。次回は、3Sセンターの研究成果とお客さまをつなぐ、森岡研究員と猪狩研究員が登場します。
Photography:YUKI SUGIURA
Hair&Make-up:Shiori Nagata
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