「Wrinkles are engraved smiles. シワは刻まれた笑顔だ」と語っていたのは、かのジュール・ルナール(小説家・詩人)さま。確かにそうなのです!
そうなのですが…、笑顔とは認めたくないシワもありまして、鏡の中の自分の顔にシワを見つけてちょっと焦って、あたふたとケアをプラスするようなことが現実だったりします。
今日はそんな「シワ」のお話。化粧品開発者としてもキャリアを重ねてきたディセンシア代表(当時)・山口が、公式インスタグラムやお問い合わせなどでお客さまからいただいたシワへの疑問や、ディセンシアメンバーから出た質問に徹底的に答えます。
ちょっと長くなりますので、気になる内容を拾い読みいただきながら、日々にぜひお役立てください!
「シワのできる主な要因は、紫外線や乾燥など、外部環境の影響や、加齢、表情のクセなどです。特に現代人はスマホやPCなどを見る時間が長く、また顔の筋肉をあまり動かさないこともあり、眉間のシワやほうれい線などが定着しやすい傾向です。
日々のスキンケアや紫外線対策をしっかりと行いながら、睡眠や栄養など食生活でも気をつけましょう」
「シワのできやすさという点では、乾燥肌も脂性肌も変わりません。ただ皮脂には肌の水分が逃げてしまうことを防ぐ役割があるので、脂性肌には保水力があります。そのため肌がなめからに見えます。
乾燥肌の方が、特にシワが目立って見えてしまうのはこのためです」
「ほうれい線はシワの1つです。小鼻の脇から口もとにかけて縦にできてしまうシワを“ほうれい線”と呼びます。
ほうれい線は、日々の表情から定着していくので、加齢と共に深くなりますが、たとえば口角を上げていると“シワっぽい”ではなく“笑顔が素敵”という印象に受け取ってもらえます。
日々のスキンケアももちろん大切ですが、いつもにこやかな表情を心がけることで嫌なシワ印象は減らしていけます」
「シワのできやすさは、遺伝的要素よりも紫外線などの環境要因の影響が大きいです。ただ、実は顔型によってシワのできやすさが違う、という研究報告があります。ご自身の顔型からシワができやすい場所を理解して、お手入れを重点的に行うのもおすすめです」
「縦ジワも横ジワも、その原因には違いはありません。どちらも肌のハリ弾力を支えているコラーゲンの量が減ったり、質がスカスカになることで発生します。
このコラーゲンの量や質にダメージを与える1つの要因が“表情”。特に目尻やほうれい線、眉間などは、同じ場所に繰返し強い力がかかるので他の部分に比べてよりコラーゲンもダメージを受けやすく、それがシワの定着を加速させてしまいます。
眉間に縦ジワが定着すると怒っていないのに“怒ってる?
不機嫌?”と聞かれてしまうけれど、目尻の横ジワは何となくニコニコと柔らかな印象を与えますよね。縦ジワを定着させる表情は意識的に回避するのが、シワ予防のためにも、良好な対人関係のためにも良さそうです」
「シワの原因は肌の奥でハリ弾力を支えているコラーゲンが物理的にダメージを受けること。どちらか片側だけに過度に圧力を加え続けてしまうことで、やはりシワはできやすくなります。
つまり、毎晩同じ側に圧力をかけていることで、その部分はシワができやすくなる可能性があるので、それが何年も続くと…。気をつけた方が良さそうですね。ソファに寝そべる時やベッドの中で、いつも同じ側に顔を向けてスマホを見ているという方も注意が必要です。普通に寝返りをしていれば、寝方によるシワの定着を心配する必要はありません」
「ヒトの体は成長期を過ぎると新陳代謝がだんだんと衰えてきます。背が伸びるのが止まることなども、わかりやすいですね(体重は増える一方だったりするのですが…笑)。
肌も同じで、ハリや弾力を支えているコラーゲンが生み出されるペースは年を重ねるにつれて衰えてきます。そういう意味では、成長期を過ぎるともう着々とシワができる方向へと歩きだしているわけで…。また、シワは加齢だけでなく、生活習慣によってもできやすくなります。たとえば紫外線を無防備に浴び続けると格段にシワが深くでやすいですし、乾燥を放置していてもそうです。
予防は何歳くらいから?というご質問は、どのぐらい本気で予防したいですか?ということにもよるので回答するのが難しいのですが、例えば、高校生ぐらいから(成長期が終わる)は屋外で活動するときにUVカットを必須にして余計なダメージは与えないように。20代はUVカットに加え乾燥対策も念入りに。30代からはシワケアを優先したいと思うときに美容液を追加するという感じでしょうか」
「ブルーライトは太陽光の中に含まれる、紫外線・可視光線・赤外線の中の“可視光線”で、その中でも青いゾーンの光のことを指しています。紫外線の次に刺激が強くて、肌に影響を与えるUV-A波・B波と似たような波長をもつ領域でもあるため、長時間大量に浴びれば紫外線と同じような肌影響があると考えられているようです。
ただ、スマホやPCから発せられるブルーライトと自然の太陽光ではパワーが違うので神経質になりすぎるのも疑問です。ブルーライトの光そのものというより、PC・スマホの視覚刺激で良い睡眠が妨げられたり、目をしかめたりする表情ジワが定着してしまうことを心配したほうがよいかもしれません。
PCやスマホは生活に切っても切れない存在ですが、敢えて見ない“デトックスタイム”を作るのもおすすめです」
「その通りです! コラーゲンの量が減ってしまったり質がもろくなっていると、跡が消えにくくなってしまいます。私も、マスク必須だった時期に、目の下のたるみのラインとマスク上部の圧迫跡が合体してしまってひどい目にあいました。跡がつきやすいな、と思ったら積極的なシワケアがおすすめです」
「眉間や目尻、ほうれい線など表情のクセが引き起こすシワが一番消えにくいと思います。乾燥や敏感状態でできてしまうシワは、スキンケアでたっぷりと美容成分を届けることでふっくらさを取り戻せますが、表情のクセで定着しているシワは、そのクセが治らないと結局イタチごっこになってしまいます。
もし眉間にシワが寄ってしまうクセがあるなら、その縦ジワは不機嫌な印象にもつながってしまうので、意識してシワを寄せないようにしてみてはいかがでしょうか?(怖い方がいい!
威厳を保ちたい!ということなら話は別です。笑)笑ったときの横ジワは幸せそうに見えるので、笑顔はそのままどんどん出していきましょう!」
「男性の方がシワが目立ちやすいといわれています。男性の肌は水分量が低く角層が厚いのも大きな要因ですが、スキンケアや日やけ止めをきちんと使う習慣ができていないことも、男性の方がシワが目立ちやすいことにつながっています。
肌そのものの生理的な側面だけでなく、お手入れなどの生活習慣の違いも大きな要因となっているようです」
「女性ホルモンのエストロゲンは、肌の弾力に関係するコラーゲンやエラスチンの生成を担っています。そのため更年期などで女性ホルモンが減少すると肌のみずみずしさやハリが失われやすくなり、シワやたるみにもつながります」
「適量よりも少なくちょこっとしか使わないよりは、たっぷり使ったほうが効果実感は高いです。ただ、たっぷりといっても限度がありますのでご注意を。肌への浸透感が感じられなくなるほど、あるいは肌表面にズルズルベタベタと残り過ぎるのはたっぷりが過ぎますし、逆に吹き出物等のトラブルを引き起こす心配もあります。
まずは適量を丁寧にハンドプレスして肌に浸透させ、まだ肌に入りそうであれば、適量の半量ぐらいをさらに丁寧にハンドプレス。少しずつ肌と相談しながら量を調整していくのがおすすめです」
「実際に目尻にシワがある方々にご協力いただき、有効成分が配合されたものと、配合されていないもの(プラセボ品と呼びます)を数ヶ月から半年にわたり実際に使っていただき、有効成分配合の方がシワ改善効果があるかどうかを観察していきます。
使用前後でお写真を撮らせていただきシワの深さや長さを記録したり、シワの本数を数えたりします。商品企画担当者や研究員は、使用後のお写真を撮る日はソワソワしたり、ちゃんと効果が出ているかしらと祈るような気持ちで立ち会います」
「シミもシワも気になりますよね。わかります。肌悩みにアプローチするのは美容液!と考えがちですが、もっと掘り下げて考えると、中に配合されている成分の働きが重要です。そのため、シミを防ぐ成分、シワを改善する成分を肌に届けることを考えればいいのです。
ローションとクリームは基本のスキンケアとして使う方が多いと思いますので、例えばシミに効く美白成分はローションとクリームで、シワを改善する成分は美容液で、のように計算高く成分とアイテムを組み合わせてみてはいかがでしょうか?
また、シミ・シワそれぞれにアプローチする成分を1つのアイテムに両方配合している商品もあります。
悩みを解決してくれる成分を、スキンケアアイテムの中でどう取り入れていくかを考えてみてください。あれもこれもそれもと使用アイテム数を増やしていくと、結局は使いきれずにドレッサーの肥やしになってしまってもったいないことも…。ディセンシアでは無料オンラインカウンセリングも行っているので、いつでもご相談ください」
「シワの深い浅いは、肌を支える“真皮”のコラーゲンの量・質の差なので、深いシワに対して、より多く有効成分を運んであげたほうが良いでしょう。大切なことは、長く使い続けられるもの、そして肌に合うものをきちんと毎日使ってあげること。無理があるケアは続かないですし、続けられなければ結局シワ改善は叶いません。
なので、まずは肌に合う&長く使い続けられるシワ改善美容液=“推し”の1本を見つけてみてください。そして、その“推し”を深いシワの部分にはより丁寧に、つまり具体的には浅いシワよりも長い時間ハンドプレスして有効成分を深く入れ込んであげる、さらに、有効成分が逃げないようにクリームも気持ち厚めに。そんな風に心がけてみてはいかがでしょうか」
「もちろん、あります!
ただ、手は顔と違って1日の中で何回も洗ったり拭いたりするので、美容液を朝晩塗っても顔と同じように効果が実感できるかは…ちょっと難しいですね。もし贅沢にケアをできるのであれば、夜寝る前にシワ改善美容液+クリーム+ナイトケア用手袋は効果的。そして、日中は乾燥を防ぐためにハンドクリームをこまめに塗りましょう。
よく撮影などでモデルさんにお会いすると、休憩時間のたびにハンドクリームやボディクリームを手やひじ、腕などにのばしていらっしゃいます。そういう積み重ねが綺麗の秘訣だと思います」
「ほんとうです。ただ、今日肌をこすったら明日シワになるということではありませんので、そこはご安心ください。
こすることは、肌に摩擦を与えるということになります。肌への摩擦が続くと、角層のバリア機能が低下し、外部刺激が入りやすくなりうるおいが逃げやすくなります。これがシワができる要因になります。
肌を触る時は、羽で肌を触るような気持ちでとにかくやさしく、が鉄則です。Everyday、Every-timeフェザータッチで♡」
「首も手もお顔と同じように、常に紫外線を防いで乾燥させないことが必要です。日々のスキンケアで首や手まで合わせてケアすることがポイントになります。
特に首は、長時間下を向いてPCやスマホを見る、猫背がち、枕の高さが合っていない、などの姿勢のクセもシワにつながりますので、要注意です」
「肌のケアをしていても、肌と繋がっている頭皮のケアまでしている方は少ないようです。特に、頬を引き上げる役目を果たす側頭筋のマッサージがおすすめです。側頭筋とその周りをマッサージして、筋肉のコリをほぐして、ゆるめることでシワやたるみの予防につながります」
「眉間のシワが目立つということは、真剣にモノゴトを考えたり、PCやスマホに集中してた証です。まずは1日頑張ったご自身を、お疲れさまと労ってあげてください。
ただ、その眉間にかかっていた圧力は実は結構大きな力で、ハリ弾力を支えている肌奥のコラーゲンにまでダメージを与えてしまいます。まず気をつけたいのは、集中するときに眉間に力を入れてしまう表情のクセ、これを意識的にやめるように心がけてみてください。眉間に縦ジワが定着すると、怒っていないときにも“怒ってる?”と聞かれるようになり、残念な思いをすることになります。逆にクセ付けしたほうが良いのが、口角を上げる表情です。加齢と共にどうしても口もとが下がってきて、これもまた不機嫌な印象を与える要素なので、40歳を過ぎたら口角を意識的に上げるクセをつけるのがおすすめ。実際にやってみていただくとわかりますが、口角を上げながら眉間にシワを寄せるって難しいんです。なので、口角上げがクセづくと、眉間には力が入らなくなって一石二鳥です」
「糖分や脂質が多い食事をとると、シワができやすい可能性があります。糖分を多く摂取すると体内で糖化が起こり、糖化したコラーゲンにはAGEsと呼ばれる老化物質が溜まり、弾力や柔らかさが失われてシワにつながってしまいます。脂質は体内で脂肪分が酸化してしまうので、老化予防に必須な抗酸化物質の消費が促進されてしまいます。老化が進み、シワにつながりやすくなります」
「もし、紫外線カット率が100%に近いもので肌を隙間なく覆うことができたとすれば、日傘やサングラスなどのグッズが最強ですが、お顔を黒い布でぐるぐるまきにしたまま過ごすのは不可能です(笑)。ですので、日やけ止めとUVカットグッズを、素敵に組み合わせることがバランスが良いと思います」
「40℃を超えるような熱い温度のシャワーを直接お顔に浴びるようなことを、毎朝毎晩続けている方は、シワになりやすいので心配です。熱い温度のシャワーは肌の皮脂を取り過ぎてしまい、角層のバリア機能の低下を引き起こしてしまいます。お顔にシャワーのお湯をそのまま当てるのは避けた方がいいですね」
「肌も体も食べたものからできているので、何を食べるか、何を飲むかはとても大事です。サプリメントは摂取したい成分(例えばシワならコラーゲンなど)を効率的に吸収できたり体や肌に定着できるような工夫がされています。また1日に必要な量を、錠剤や顆粒やドリンクなどの少量で摂取できるのもよいですね。お食事だけでとろうとするとカロリー過多になることもありますから、賢く利用するのは良いことだと思います」
「はい!なります。たとえばコラーゲンを多く含む鶏肉や豚肉などはいいですね。
コラーゲンは体の中でまずアミノ酸に分解されます。そのアミノ酸たちが肌の真皮でまたコラーゲンに再合成されて定着していきます。アミノ酸からコラーゲンに再合成される時にはビタミンCの力を借りるので、ビタミンCを含む食材も一緒に摂るとより効果的です」
「皆さまのご質問にお答えできたでしょうか?
肌は日々のお手入れ、メンテナンスなどにちゃんと応えてくれます。ご自身にあったシワケアを探すために今日の記事がお役に立てば嬉しいです。
今回取り上げた疑問以外にも、知りたいことがあれば、いつでもどんなことでも、ぜひお気軽にお問い合わせください。無料オンラインカウンセリングも行っております」
「私はディセンシアのシワ改善美容液を全顔はもちろん、首までたっぷりと使用しています。また紫外線でシワが進行するので、1年中SPF50+のUVカットを徹底しています」
「そしてスキンケアも大切ですが、肌や体は“何を食べるか”も重要です。私は、肌のハリ弾力となるタンパク質や、うるおいを補給するα-リノレン酸を含む脂質を意識的に摂っています。おすすめレシピは、タンパク質が多く低カロリーな鶏の胸肉をそぎ切りにしてレンチンして割いたのと、カイワレなどのビタミンC豊富な野菜をえごま油+ポン酢で和えたおつまみ。えごま油はα-リノレン酸が豊富に含まれているので常備しています!
美味しく、楽しく、心地よく。それぞれの方の暮らしにあったシワケアを続けていただけたらと思います」
株式会社DECENCIA代表取締役(当時)山口裕絵
新卒でポーラに入社後、宣伝制作や商品企画に携わる。2019年には日本初のシワ改善薬用化粧品として発売された「リンクルショット」のブランドマネージャーを務める。2021年より、ディセンシアの代表取締役に就任。趣味は料理とピアノ。
Photography:HAL KUZUYA
Vol.04
2024年 真冬
Vol.09
2025年 月白
Vol.08
2025年 暑夏
Vol.07
2025年 蒼夏
Vol.06
2025年 春歌
Vol.05
2025年 初春
Vol.04
2024年 真冬
Vol.03
2024年 仲秋
Vol.02
2024年 盛夏
Vol.01
2024年 初夏